このページでは、未払い賃金(給料未払い)の被害を受けている場合に誰に相談するべきかを紹介しています。加えて、未払い賃金(給料未払い)に関する裁判の事例なども紹介しています。
また、最も未払い賃金(給料未払い)の相談先として効果的と言われている弁護士へ依頼した場合の事例や依頼にかかる着手金や成果報酬などを紹介しています。
未払い賃金が発生するケースとは
給料の未払い
いかなる理由があったとしても、支払い日に給料が支払わなければなりません。給与が支払われていない場合、労働基準法に違反となり、未払い賃金が発生します。
最低賃金を下回っている
最低賃金法という法律で定められているように、最低賃金を下回る給与しか支払われていなかった場合に未払い賃金が発生します。時給に直した場合に下回るケースもあります。
会社都合で会社が休み
会社の責めに帰すべき事由で休みになった場合、休業手当として賃金の60%を請求できます。労働基準法で定められています。災害などによる休業の場合は、請求は難しいです。
未払い賃金(給料未払い)がある場合はどこに相談するべきか?
弁護士への相談
未払い賃金を解決するために、「弁護士への相談」は効果的な方法の一つです。法的に対処できるため、弁護士へ依頼すれば解決につながるケースも多いです。
ですが、法的対処のために弁護士へ依頼すると着手金がかかり、相手に示談金・賠償金を支払わせた場合には成功報酬の支払いも発生します。
弁護士へ無料相談することはできる?
近年は、無料で相談できる弁護士事務所も増えており、一定数の弁護士事務所で無料相談が可能です。あくまでもできるのは、相談で着手してもらう場合は有料となります。また、無料相談も「初回30分のみ」など制限を設けていることが多いです。
「弁護士保険ミカタ」、「ベンナビ弁護士保険」、「弁護士保険コモン+」などの弁護士保険に加入すると、付帯サービスとして、弁護士への無料相談サービスが備わっており、より相談しやすくなっています。
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必要がなくなる。
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取扱保険会社一覧
警察への相談
基本的には、給料の未払いは犯罪行為とみなされないため、民事不介入の原則から警察が介入することはありません。
警察が介入するケースとしては暴行罪・傷害罪・名誉棄損罪・侮辱罪などが該当されます。警察の介入を求める場合は、証拠を用意しておくことが推奨されます。
給料未払いで生活できない!未払い賃金の相談先
労働組合
会社内の労働組合、会社外のいずれでもまずは相談してみましょう。相談後に加入することで団体交渉を依頼できる場合もあります。会社は団体交渉に応じなければならないので、効果的です。
公的な無料の相談窓口
「総合労働相談コーナー」や「労働条件相談ほっとらいん」、「法テラス」などでは、無料で相談をすることができます。土日含めて相談できるところが殆どなので、困ったらまず相談するのが効果的です。
社会保険労務士
労働委員会は、各都道府県に設置されており、労働に関するトラブル解決のために相談に乗ってもらうことができます。費用がかかってしまいますが、あっせん制度を利用することも可能です。
未払い賃金(給料未払い)で【証拠がないとき】は泣き寝入りするしかないのか
未払い賃金(給料未払い)で会社に請求したいけれども、証拠がない場合は泣き寝入りになってしまうことがあります。自身で給料未払いの証拠が掴めない際は、弁護士など専門家に依頼するのが良いとされています。
下記で給料未払いの際に証拠として効果的なものの例、他に給料未払いで証拠がない場合に効果的な対処法を紹介します。
給料未払いの際に証拠として効果的なもの
雇用関係が証明できるもの
- 労働(雇用)契約書
- 労働条件通知書
- 業務上でやり取りしたメールなど
基本給・各種手当の金額を証明できるもの
- 労働(雇用)契約書
- 労働条件通知書
- 就業規則など
残業時間がわかるもの
- タイムカードなど、勤怠管理システムの記録
- システムのログイン、ログアウト履歴
- 業務日誌
実際に支払われた給料がわかるもの
- 給与明細
- 源泉徴収票
- 給与振込先口座の入金履歴
給料未払いで証拠がない際にに証拠として効果的なもの
別の視野で証拠を探す
証拠が見つからない場合は、別の視野で証拠を探すのが効果的とされています。従業員が独自に収集できる情報もあります。どのような証拠を集めてよいか、わからない場合は弁護士などに確認するとよいでしょう。
会社に証拠の開示を求める
既に退職してしまっている場合、会社のシステムなどにログインができなくなってしまい証拠が集められなくなってしまいます。弁護士などに相談して証拠開示を求めれば開示してくれる可能性が高まります。
証拠保全手続きを利用する
企業によっては、証拠となるものを破棄する場合があります。「証拠保全手続き」をすると、裁判所が主導で証拠の確保を行なってくれます。残業代請求訴訟の中で行うことができる手続きの一つです。
給料の未払い(残業代請求訴訟)で裁判に負けることはあるのか
給料の未払い、ここでは残業代請求訴訟した場合に、裁判で負けることはあるのか紹介していきます。
残業の証拠が不十分な場合
残業の証拠を証明するのに、「会社PCのログオン・ログオフ履歴」、「出勤・退勤の勤怠管理」、「業務メールの送信・受信履歴」などが必要になります。どのくらい残業時間があったか明確にする必要があります。
残業禁止の指示に反して残業していた場合
会社から残業禁止の指示があった、かつ従業員側の都合で敢えて残業をしていた場合などは、請求が認められない場合があります。但し、残業禁止の指示が出ていても、業務量や状況から残業が不可避な場合は請求が認められる可能性は高くなります。
残業代の消滅時効が完成している場合
2020年4月1日以降、残業代請求権の消滅は3年と定められています。2020年3月31日までは、消滅は2年と定められています。消滅後の残業代については、請求することができませんので、早めに弁護士へ相談するとよいでしょう。
従業員が管理監督者であると判断される場合
従業員が「監督若しくは管理の地位にある者」である場合には、時間外労働や休日労働に関する割増賃金の請求は認められないことになっています。(労働基準法41条2号)
【未払い賃金(給料未払い)の請求訴訟】弁護士へ相談する場合の費用
- 相談料:1時間あたり5,000~10,000円(無料相談の事務所あり)
- 着手金:20万円~30万円程度
- 成功報酬:獲得金額の20%程度
弁護士へ相談することで、請求したい額を計算し、さらに会社に対して支払い請求を行なってくれます。
支払い請求のみで解決しなかった場合は、裁判所に労働審判を申し立ててくれます。
労働審判手続きとは
労働審判手続きは、訴訟手続きとは異なり非公開の手続きです。労働者と事業者間のトラブルを迅速かつ実効的に解決することができます。通常の訴訟よりも迅速に進み、66.9%の事件が3ヶ月以内に終了しています。
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未払い賃金(給料未払い)の請求訴訟の事例【賠償金・示談金】
営業時間が法定労働時間を超えている職場での杜撰な労務管理に対して弁護士が適正な残業代を請求、訴訟により残業代を回収できた事案
● 業種
小売業
● 解決方法
訴訟上の和解
● 回収金額
約120万円
● ご依頼者の勤務状況
ご依頼者のI.Yさんの勤務先は、店舗の営業時間が法定労働時間を超えている状態で運営されていました。会社の勤務時間が法定労働時間を超えている場合、休憩時間を過剰に主張して調整を図ろうとする場合があります。本件においても会社側からそのような主張がなされていました。
● 交渉の経過と解決に向けた弁護士の活動内容
一度I.Yさんの勤務先だった会社社長と交渉しましたが、すぐ相手方に代理人弁護士が就任しました。
なお、相手方社長は、ご自身で計算した残業代の一部を一方的に支払ってきましたが、残業代全額には足りないものでした。
相手方の会社社長には、100万円以上であれば解決できるという提案を伝えましたが、根拠のない主張が繰り返され、こちらの提案に応じなかったため、訴訟を提起しました。
訴訟においても、休憩時間の主張が繰り返されましたが、結局は当初提案額である交渉途中での既払金を除く100万円で和解が成立しました。
参照:https://legalplus.jp/
タイムカード等による労働時間の管理がされず記録も開示しない会社に対し、弁護士がご依頼者の労働時間の記録を立証して未払い残業代を回収した事案
● 業種
サービス業
● 解決方法
示談交渉
● 回収金額
約300万円
● ご依頼者の勤務状況
ご依頼者のM.Iさんは、コンビニエンスストア等を経営する株式会社において、コンビニの店長の地位にありました。平均勤務時間は1日11時間近くに及び、退職するまでの直近の5か月ほどは、1日の休みもない労働環境でした。
● 交渉の経過と解決に向けた弁護士の活動内容
本件は、会社でタイムカード等による労働時間の管理が全くされていませんでした。また、会社は、労働時間を把握するため資料(例えば、レジの記録等)を開示してきませんでした。
そこで、ご依頼者のM.Iさんの勤務店舗が商業施設に入っていたことから、M.Iさんの施設への入退館記録を取得し、この時間をもとに労働時間を推認し、未払い割増賃金の請求を行っていきました。
参照:https://legalplus.jp/
能率手当が残業代の一部支払いであるとの主張に対し、弁護士が能率手当の給与規程での定めが不明確な点を追及、労働審判で納得のいく解決ができた事案
● 業種
運送業
● 解決方法
訴訟上の和解
● 回収金額
約300万円
● ご依頼者の勤務状況
ご依頼者のE.Sさんは、トラックドライバーとして働いており、1日2~3時間程度の残業をしていましたが、残業代の支払いを明確に示されず、特定の手当が残業代の支払いであるといった説明も受けていませんでした。E.Sさんはそうした状況に疑問を持ち、当事務所に電話相談ののち、受任することとなりました。
● 交渉の経過と解決に向けた弁護士の活動内容
まず会社宛てに残業代催告書を送付し、会社の代理人から資料一式が開示されました。代理人からは「能率手当が残業代の一部支払いである。」との主張をされましたが、能率手当は給与規程上「…30時間分の時間外手当を含む金額を支給する。」と定められており、各月の能率手当で時間外手当がどの程度含まれるか明らかでなく、残業代の一部支払とはならないものでした。
交渉では解決がつかず労働審判となり、裁判所も能率手当が残業代支払いとは認められないとの心証でした。その後、能率手当の実態が歩合給であったかも争点となりましたが、協議の結果、能率手当を基本給に組み入れた場合と歩合給とした場合との2つの計算案の中間額(300万円)で調停成立となりました。
参照:https://legalplus.jp/
まとめ:未払い賃金(給料未払い)の請求訴訟
この記事のまとめはこちらです。
- 未払い賃金が発生するケースは、「給料の未払い」、「最低賃金を下回っている」、「会社都合で会社が休み」
- 未払い賃金(給料未払い)を解決するために、「弁護士への相談」が効果的
- 未払い賃金(給料未払い)で弁護士へ相談する場合の費用は、「相談料:1時間あたり5,000~10,000円」、「着手金:10万円~30万円程度」、「成功報酬:獲得金額の20%程度」
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