労働審判にかかる弁護士費用は?自分でもできる?相手に請求できる?

このページでは、裁判所で行われる手続きのうち労働審判とはどのようなものかについて説明します。

加えて、労働審判が通常の裁判とどのように違うのか、実際に労働審判が行われた際にどのくらいの費用がかかるのかについてもご紹介します。

そして、「労働審判の際にかかった費用を相手に請求できるのか」「労働審判の費用が払えない場合どうしたらいいのか」といったよくある疑問にもお答えします。

目次

労働審判とは

労働審判とは地方裁判所で行われる手続きの一種で、不当解雇や給料の未払いなど、個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルを迅速に解決するための法的手段の一つです。

労働審判は労働審判官1名と労働審判員2名で組織される労働審判委員会によって行われ、原則として3回以内の期日で審理を終えることになっているため、通常の裁判と比較してトラブル解決までにかかる日数が少ないのが特徴です。

労働審判を申し立ててもまずは当事者同士の話し合いによる調停での解決を試み、調停が不成立となった際にそれまでの審理の結果や実情を踏まえて労働審判を行います。

審判とはどのようなものか詳細を紹介しています。

労働審判と労働裁判の違い

労働審判と労働裁判(=訴訟)はともに「裁判官に判断を下してもらう」という部分は共通していますが、特に「判断までの期間の長さ」に大きな違いがあります。

令和4年の統計によると、労働審判の平均審理期間は90.3日(≒3ヶ月)である一方、労働関係の裁判の平均審理期間は15.9ヶ月と労働審判の約5倍の時間を要していることが分かります。

労働関係のトラブルは労働者の生活基盤に直結するものであり通常の事件と比べても迅速な解決が望まれるため、近年では労働審判は労働裁判とほぼ同じ新受件数となっています。

労働裁判と比べて最も大きな相違点は「審理期間の短さ」ですが、裁判の半額程度の諸経費で申し立てる事が可能な点や、裁判と違い非公開で行われる点も労働審判の特徴になります。

労働審判にかかる費用の相場 | 自分でやると?弁護士を雇うと?

審判にかかる費用金額
収入印紙数千円~数万円(訴訟額による)
予納郵便切手1,000~2,000円
必要書類の取得費用数千円

自分自身で労働審判に関する手続きを全て行うと費用は数千円~1,2万円程度に収まる場合もあり、多額の費用がかかるということはありません。

ですが、労働審判は原則として3回の審理で終結してしまう手続きのため、当事者には申立ての段階から十分な準備をして充実した内容の申立書と必要な証拠を提出することが求められます。

そのため、日本弁護士連合会が発表している統計によると、2023年の労働審判事件のうち「双方に弁護士代理人あり」が79.2%で大多数を占め、「どちらか片方に弁護士代理人あり」が18.3%、「双方に弁護士代理人なし」が2.6%と、実際には殆どの場合で弁護士を頼る形で労働審判が行われています。

審判にかかる弁護士費用金額
法律相談料5,000~10,000円 / 1時間(無料相談の事務所あり)
着手金10万円~30万円程度
報酬金得られた経済的利益の10~20%
実費数万円

労働審判においては自身の望んだ通りの判決を得るためにも弁護士への依頼を積極的に検討するべきでしょう。

弁護士へ依頼する際にどのような費用が発生するか紹介しています。

労働審判の事例における実際にかかった費用

労働審判における費用の相場は、どのような問題に対する依頼かによって異なります。

いくつか例を挙げて紹介していきます。

労働問題における弁護士費用の詳細を紹介しています。

パワハラ問題

上司から日常的な罵声を浴びせられ、最終的にうつ病を発症し就業が困難になってしまったケース

法律相談料1万円 / 1時間
着手金10万円
成功報酬金12万円(得られた経済的利益の15%)
実費2万円
合計25万円

パワハラ問題における弁護士費用の詳細を紹介しています。

セクハラ問題

直属の上司から無理やり性的な関係を迫られ、「断れば昇進に不利になるよう働きかける」と脅されたケース

法律相談料1万円 / 1時間
着手金15万円
成功報酬金20万円(得られた経済的利益の20%)
実費2万円
合計38万円

セクハラ問題における弁護士費用の詳細を紹介しています。

残業代請求

就業時間後も業務を行っていたにも関わらず残業代の支払いが行われない状況が会社内で常態化してしまっていたケース

法律相談料1万円 / 1時間
着手金10万円
成功報酬金15万円(得られた経済的利益の10%)
実費2万円
合計28万円

残業代請求における弁護士費用の詳細を紹介しています。

不当解雇

他の職員が嘘の報告を続けたために、会社から「勤務態度が不良である」として不当に懲戒解雇されたケース

法律相談料1万円 / 1時間
着手金20万円
成功報酬金20万円(得られた経済的利益の10%)
実費2万円
合計43万円

不当解雇における弁護士費用の詳細を紹介しています。

職場いじめ

職場の同僚から日常的に誹謗中傷を受け、最終的に適応障害を発症し就業が困難になってしまったケース

法律相談料1万円 / 1時間
着手金10万円
成功報酬金12万円(得られた経済的利益の15%)
実費2万円
合計25万円

職場のいじめにおける弁護士費用の詳細を紹介しています。

退職金未払い

会社側が「当該社員による業務上の過去の損害と退職金を相殺する」と主張し、退職金の支払いを拒んたケース

法律相談料1万円 / 1時間
着手金20万円
成功報酬金30万円(得られた経済的利益の15%)
実費2万円
合計53万円

退職金未払いにおける弁護士費用の詳細を紹介しています。

内定取り消し

新卒で就職予定の企業から、内定式後に内定取り消しの書面が届いたケース

法律相談料1万円 / 1時間
着手金20万円
成功報酬金10万円(得られた経済的利益の10%)
実費1万円
合計32万円

内定の取り消しにおける弁護士費用の詳細を紹介しています。

労働審判にかかる費用は誰が払う?払えない場合は?

弁護士などの専門家を雇わなかった場合、労働審判にかかる費用は数千円~数万円程度ですが、これは原則として審判を申し立てる側(=申立人)が支払うことになります。

収入印紙代・切手代・必要書類の取得費用など、実際にかかる費用はケースごとに異なるため注意が必要です。

労働審判にかかる費用が払えない場合は?

上記で説明した通り、労働審判は非常に短い期間で審理が終わってしまう関係で、弁護士を雇わなければ自身の望む結果を得るのは難しいのが実情です。

一般的には「法律相談料」は最初に相談をしたタイミングで、「着手金」は実際に弁護士が案件に取り掛かるタイミングで、「報酬金」は離婚トラブルが決着したタイミングで支払うことになります。

また、既に着手しているにも限らず費用が支払えなくなった場合、「案件の処理の終了」、「弁護士の辞任」、「差し押さえなどによる法的手段」が発生する可能性があります。

弁護士を雇う場合は最低でも数十万円程度の弁護士費用がかかってしまうため、予めどのくらいの金額が必要になるか、またそれを払うことができるかも確認をしておきましょう。

弁護士へ依頼した場合に発生する費用について解説しています。

以下で、弁護士費用が支払えない場合の対処法もご紹介します。

分割払いや後払いできる法律事務所の利用

前提として、弁護士に支払う着手金を無料にすることは難しいですが、分割払いや後払いに対応可能な法律事務所はいくつかあります。

また、依頼する事件内容によって分割払いの対応をしてくれる法律事務所もあるようです。まずは問い合わせだけでもしてみましょう。

注意点として、上記でも紹介したように着手した後に分割払いや後払いの支払いが滞ると差し押さえなどの法的手段が発生する可能性もあるので注意しましょう。

弁護士保険に加入しておく

弁護士保険とは、法的トラブルが発生した際の弁護士費用を補償してもらえるものです。

弁護士保険によって補償されるのは主に法律相談料、着手金、報酬金です。(保険会社によって異なることもある)

弁護士保険会社によって異なりますが、弁護士保険ミカタの場合は月額の保険料2,980円で着手金が80%補償されます。

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弁護士保険とはどのようなものか詳細を紹介しています。

労働審判の費用を相手に請求することはできる?

労働審判にかかる費用は基本的には申し立てる側(労働審判の場合は基本的に”労働者側”)が負担することになっています。

また、弁護士を雇った場合の弁護士費用については判決内容にかかわらず原則として相手に請求することは出来ません。

例えば「敗訴した側が相手方の弁護士費用を支払う」などは一見正しく感じられますが、「もし負けたら相手の弁護士費用も支払わないといけないのなら…」と裁判所の利用を思いとどまってしまう可能性があります。

そのため、法律で定められた諸費用については相手方への負担が認められる場合もありますが、弁護士費用については原則自己負担となっています。

労働審判については弁護士を雇う場合が多いので、費用倒れになってしまわないよう労働審判を申し立てる前に弁護士費用の確認を行っておきましょう。

不法行為があった場合や労災による損害賠償請求の場合は、相手側に弁護士費用も請求出来る場合があります。

ですが、その場合も弁護士費用全額を請求できるわけではなく、損害賠償額の一割程度(損害賠償として100万円が認めれれたら10万円分)を限度に認められることになります。

弁護士保険に加入すると民事裁判における弁護士費用が補償される

上記でも少し触れましたが、もし弁護士保険に加入していれば労働審判における弁護士費用が補償されます。

補償されるトラブルの範囲も広く、労働審判などの労働問題以外にも「離婚問題」、「相続問題」、「交通事故」などによる法的トラブルの際の弁護士費用が補償されます。

基本的に弁護士保険は個人が直面したトラブルの弁護士費用を補償するものですが、近年では事業者向けの保険もあるので加入していれば事業者が直面するトラブルも補償されます。


現状で弁護士保険の種類はいくつかあり、月額の保険料や補償割合、他にも付帯サービスや特約などがそれぞれ異なります。

当サイトでは、おすすめの弁護士保険のサービスや月額料金などを比較しているので、弁護士保険への加入を検討している場合はチェックしてみてください。

おすすめの弁護士費用保険を紹介しています。

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まとめ:労働審判にかかる弁護士費用

この記事のまとめはこちらです。

  • 労働審判とは地方裁判所で行われる手続きの一種で、個々の労働者と事業主との間の労働関係のトラブルを迅速に解決するための法的手段の一つで、通常の裁判と比べてトラブル解決までの日数が少ないのが特徴です。
  • 労働審判にかかる費用は「収入印紙:数千円~数万円」「郵便切手:1,000~2,000円」「必要書類の取得費用:数千円」ではあるが、仕組み上 弁護士を雇う割合が高く、弁護士を雇った場合「相談料」「着手金」「報酬金」なども発生し高額になる場合がある。
  • 労働審判にかかる費用は申立人(基本的には”労働者側”)が支払うことになっており、当事者が弁護士を雇った場合はその弁護士費用は判決の内容にかかわらず雇った本人が負担し相手に請求することは出来ない。

弁護士への相談を検討している場合は、弁護士保険の加入がおすすめです。下記から、弁護士保険の比較することができます。

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