遺言書による相続 | 自筆遺書遺言・公正証書遺言とは?書き方は?

財産を誰に、どれぐらい相続するか決める場合に遺言書は必要となります。

遺言書の中でも「自筆遺書遺言」、「公正証書遺言」があり、それぞれ書き方も異なります。

このページでは、遺言書の書き方や遺言書による相続の方法を紹介していきます。他にも遺言書の作成を弁護士に依頼する場合の費用なども紹介していきます。

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目次

遺言書による相続

遺言書によって財産の相続分配が変わります。ここでは、遺言書による相続に関わる基礎情報を紹介していきます。

遺言書があると相続人はどうなる?

遺言書とは財産を持つ人が、自身の死後に財産をどのように分配するかの意思を書面として記したものです。

遺言書がある場合は基本的に遺言書に記載された相続人および割合に従って相続をします。

但し、相続人全員の同意がある場合は遺言書の内容を無視して相続を進めることが可能です。

法定相続人や法定相続分についての詳細を紹介しています。

公正証書遺言とは?

公正証書遺言とは、公証役場で作成され、相続のタイミングまで保管される遺言書です。単なる遺言書よりも法的効力のある遺言書となります。

その他、公正証書遺言の作成においては、証人2名の立ち会いが必要です。また、内容の確認においても公証人が行います。

そのため、偽造や紛失のリスクが少なく、確実性が高い遺言書となります。

公正証書遺言があっても相続人全員の同意があれば、遺言書に記載された内容を無視することができます。

遺言書と遺留分の関係は?

遺言書と遺留分の関係性として、遺言書に記された内容が遺留分があるにも関わらず無視したものである場合に遺留分を請求する主張が可能になります。

遺留分とは、法定相続人に対して最低限保証されている遺産の取得分です。被相続人の兄弟・姉妹は法定相続人になり得ますが、遺留分の対象からは外れます。

相続における遺留分についての詳細を紹介しています。

遺言書によって1人に相続させることはできるか?

遺言書によって1人に相続させることは、できる場合とできない場合があります。

できない場合として、遺留分が関係しています。相続人が複数いて、その相続人たちが配偶者・子ども・親のいずれかである場合は遺留分が発生するため、1人に相続させることはできません。

相続人が複数いても遺留分が発生しないケース、もしくは相続人が1人のみであるケースであれば1人に相続させることが可能です。

遺言書の書き方

上記でも少し触れましたが、遺言書には、「自筆遺書遺言」と「公正証書遺言」があります。それぞれの書き方を紹介していきます。

自筆遺書遺言の書き方と注意点

自筆遺書遺言は、費用などがかからず作成することができます。ですが、いくつか注意点もあります。

ここでは、「自筆遺書遺言の雛型」や「自筆遺書遺言を書く上での注意点」などを紹介していきます。

自筆遺書遺言の雛型

自筆遺書遺言を書く際の注意点

自筆遺書遺言には、民法968条にて下記のようなことが定められています。

自筆証書によって遺言をするには、遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。

参照:https://www.moj.go.jp/MINJI/

また、他にもいくつか注意点があるため紹介していきます。

自筆で書かなければならない

自筆遺書遺言という名前からも分かりますが、遺言を残す際は遺言を残す人が自筆で書かなければなりません。代筆も認められていません。

署名と押印が必要

署名と押印がどちらも必要になります。署名は自筆で行うようにしましょう。

署名が必要

署名も必要になります。署名が抜けていると無効になる場合があります。

公正証書遺言の書き方

公正証書遺言は、費用などがかからず作成することができます。ですが、いくつか注意点もあります。

ここでは、「公正証書遺言の必要書類」や「公正証書遺言を作る上での注意点」などを紹介していきます。

公正証書遺言の雛型

参照:https://www.moj.go.jp/

公正証書遺言の必要書類

公正証書遺言を申し込むとための必要書類はいくつかあります。殆どは、市役所などで用意することができます。

書類入手場所
印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内)市区町村役場
遺言者の戸籍謄本市区町村役場
遺言者および相続人の続柄が分かる戸籍謄本市区町村役場
財産を相続人以外の人の譲る場合は譲る人の住民票の写し市区町村役場
不動産を登記する場合は、不動産の登記事項証明書法務局
固定資産税納税通知書市区町村役場
預貯金の通帳のコピー自身で用意

公正証書遺言を作成する際の流れ

STEP
公証役場で面談の予約を行う

遺言の内容を決めたら、公証役場に連絡し面談の日程を決めます。

STEP
公証人と遺言の内容を相談

公証人と面談し、遺言の内容に法的な問題がないかなど相談します。

遺産分割の割合など、個別の遺言の詳細に関わる内容については相談できません。

STEP
「証人の選定」と「公正証書遺言の作成日を選定」

公正証書遺言作成の際に立ち会う「証人」を選定します。また、証人には署名と押印の役割もあります。

その後、「公証人」と「証人」のスケジュールを合わせ、公正証書遺言の作成日を決めます。

※公証役場で証人を紹介してもらう場合は1人あたり5,000円〜1万円の謝礼をするのが一般的です。

STEP
公正証書遺言を作成

公正証書遺言を作成する当日は、必要書類と実印を用意しておきます。

また、公正証書遺言の作成には手数料がかかるため、該当する費用を支払います。手数料を相続人ごとの手数料によって異なります。

遺言書に記載する財産の価額手数料
100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下11,000円
500万円を超え1,000万円以下17,000円
1,000万円を超え3,000万円以下23,000円
3,000万円を超え5,000万円以下29,000円
5,000万円を超え1億円以下43,000円
1億円を超え3億円以下4万3,000円に超過額5,000万円までごとに1万3,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下9万5,000円に超過額5,000万円までごとに1万1,000円を加算した額
10億円を超える場合24万9,000円に超過額5,000万円までごとに8,000円を加算した額

相続する財産が1億円未満の場合、追加で11,000円分を遺言加算として支払う必要があります。

遺言書がある場合の相続の流れ

遺言書がある場合も基本的には相続の流れは同様ですが、一部異なる部分もあります。

遺言書がある場合の相続の流れ

STEP
課税対象の遺産総額を算出する

財産の見落としがあると、再度相続税の申告をする必要があります。難しい場合は専門家に依頼し、財産を明らかにしましょう。

課税対象の遺産総額 = 「財産」 – 「基礎控除」 – 「非課税の財産」 – 「債務控除」

基礎控除 = 3,000万円 + (600万円 × 法定相続人の数)

STEP
課税遺産総額を按分、相続税の総額を算出

課税遺産総額が確定したら、法定相続人同士でそれを按分(=基準となる割合で割り振ること)します。

按分後に税率を掛け、相続税の算出を割り出します。

相続税は、超過累進税率と言われる課税価格によって税率が変わる方式で計算します。また、税率を掛ける際に課税価格によって控除されます。

課税価格税率控除額
〜1,000万円10%
〜3,000万円15%50万円
〜5,000万円20%200万円
〜1億円30%700万円
〜2億円40%1,700万円
〜3億円45%2,700万円
〜6億円50%4,200万円
6億円〜55%7,200万円

注意点として、課税遺産総額にそのまま税率を掛けるわけではありません。按分後の価格に対して税率や控除額を割り出し掛けます。

STEP
相続税総額を実際の割合で按分し、税額控除を適用する

算出された相続人それぞれの相続税を合算し、その総額を実際の割合で按分します。

ここでは、法定相続分に従って按分するのではなく、遺言書に記載された実際に分割する際の割合に従い按分します。

按分された後に税額控除が適用され、控除後の金額が最終的に納付するべき相続税となります。

税額控除される項目としては下記のようなものがあります。

配偶者控除配偶者の法定相続分または1億6,000万円のいずれか大きい金額に対応する税額
未成年控除18歳に達するまでの年数 × 10万円
障害者控除85歳に達するまでの年数 × 10万円(特別障害者:20万円)

遺言書がある場合の相続の注意点

「基礎控除」や「非課税枠」が適用されない

遺言がある場合の相続において、法定相続人ではない人に対しての「基礎控除」や「非課税枠」などは適用されません。

基本的には、下記のものが「基礎控除」、「非課税枠」として設定されています。

基礎控除3,000万円+600万円×法定相続人の数
死亡保険金・死亡退職金の非課税枠500万円×法定相続人の数

法定相続人ではない人に対しての相続において、3,000万円は基礎控除として適用されます。しかし、他の金額は法定相続人に対して適用されるため、法定相続人ではない人は適用されません。

相続税が2割増になる

相続をする人が「被相続人の配偶者と一親等の親族(子どもと両親)」以外の場合は、相続税が2割増となります。

基本的に相続人が孫の場合は2割増の対象ですが、代襲相続(=本来相続されるべき相続人が死亡した場合にその子どもに相続されること)において相続人が孫になる場合は2割増の対象にはなりません。

遺言書の作成を弁護士に依頼する際の費用

弁護士へ依頼する際は遺言書の作成以外も遺言書の保管や執行なども依頼することができます。

相談料5,000円〜1万円/30分
遺言書の作成費用10〜20万円
遺言書の保管費用1万円程度
遺言執行30〜100万円

参照:https://souzoku.asahi.com/

弁護士費用が払えない場合は

家の相続登記において、弁護士に依頼する場合は相談料・着手金・報酬金を支払います。

しかし、弁護士へ支払う費用は高額になることも多く、一括で用意するのが難しいこともあるでしょう。

ここでは、弁護士費用が払えない場合の対処法を紹介していきます。

分割払いや後払いできる法律事務所の利用

前提として、弁護士に支払う報酬金を無料にすることは難しいですが、分割払いや後払いに対応可能な法律事務所はいくつかあります。

また、依頼する事件内容によって分割払いの対応をしてくれる法律事務所もあるようです。まずは問い合わせだけでもしてみましょう。

注意点として、上記でも紹介したように着手した後に分割払いや後払いの支払いが滞ると差し押さえなどの法的手段が発生する可能性もあるので注意しましょう。

弁護士保険に加入しておく

弁護士保険とは、法的トラブルが発生した際の弁護士費用を補償してもらえるものです。

弁護士保険によって補償されるのは主に法律相談料、着手金、報酬金です。(保険会社によって異なることもある)

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弁護士保険に加入すると費用の報酬金が補償される

上記でも少し触れましたが、もし弁護士保険に加入していればトラブルの際の弁護士費用が報酬金含めて補償されます。

補償されるトラブルの範囲も広く代表的なものだと「離婚問題」、「相続問題」、「労働問題」、「交通事故」などによる法的トラブルの際の弁護士費用が補償されます。

基本的に弁護士保険は個人が直面したトラブルの弁護士費用を補償するものですが、近年では事業者向けの保険もあるので加入していれば事業者が直面するトラブルも補償されます。


現状で弁護士保険の種類はいくつかあり、月額の保険料や補償割合、他にも付帯サービスや特約などがそれぞれ異なります。

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まとめ:遺言書による相続

この記事のまとめはこちらです。

  • 遺言書の作成方法は、自筆で書き自身で保管する「自筆遺書遺言」と公証人立ち会いの元で作成し公証役場で保管する「公正証書遺言」がある。
  • 遺言書がある場合の相続も基本的な相続税の計算方法と同様。しかし、法定相続人以外に相続する場合、基礎控除や非課税枠など一部適用されないものもあるため注意が必要。

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