近年 相続放棄が右肩上がりで増加しており、令和5年度の司法統計によると相続放棄の申述の受理件数は28万2785件で過去最多を更新しています。
相続放棄をする場合、被相続人が亡くなり自身のために相続が始まったと知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する必要があり、相続の権利を有する人間が複数いる場合やどんな相続財産を持っているか正確に把握していない場合などは相続放棄はより複雑化します。
この記事では相続放棄の手続きを弁護士に依頼した場合の費用や、弁護士以外に相続放棄の手続をサポートしてくれる司法書士との違いなどについても解説します。
相続放棄とは
相続放棄とは
相続放棄とは「亡くなった被相続人の財産を全て相続しない」ということです。
財産は預貯金・株式・不動産だけでなく借金や連帯保証人の地位なども含むため、多額の借金があり財産相続をすると明らかに損をする場合や、不動産の維持費や固定資産税を払うくらいなら相続しなくて良いと考えている場合などは相続放棄をお勧めします。
相続放棄の現状を知ろう
近年は相続放棄が右肩上がりで増加しており、令和5年度の統計では相続放棄の申述の受理件数は28万2785件で過去最多を更新しています。
1975年に4万9981件だった相続放棄はこの約50年間で約5.7倍まで増加しており、相続放棄は令和5年度の家庭裁判所の家事審判(家族や親族に関する法律問題)の新規受付件数の約28%を占め全体の第1位となってます。
相続放棄を行う場合にかかる費用
相続放棄の手続きにかかる費用は誰が払う
親の借金は払う必要がない
相続放棄をした場合は被相続人の全ての財産の相続をしない事が出来るため、例えば親に多額の借金があったとしても相続放棄をすれば子どもは引き継がずに済みます。
相続放棄にかかる費用は相続人が支払う
相続放棄にかかる費用は相続人各自が支払う必要があります。全て自分で手続きを行った場合は数千円程度、司法書士や弁護士に依頼した場合は数万〜10万円ほどの費用が発生します。
自身で相続放棄をする場合にかかる費用
印紙代 | 1名につき800円 |
郵便切手代 | 500円程度 |
相続人・被相続人の戸籍謄本の取得費用 | 1000~1500円程度 |
被相続人の住民票除票または戸籍附票の取得費用 | 300円程度 |
自身で相続放棄を行った場合に発生する費用は最低で3000円程度です。
相続放棄は必要書類を家庭裁判所に送付することで作業が完了するため役所からの書類の取得が主な費用となりますが、兄弟などでまとめて相続放棄する場合などは更に費用は増加します。
相続放棄の失敗例とは
ここではよくある相続放棄の失敗例をご紹介します。
概要
親が亡くなり預貯金が100万円ほど相続出来たので自身の借金返済に利用したが、後から親の借金が500万円ほど残っていることを知った。
失敗による被害額 | -500万円 |
被害額の内訳
- 借金:500万円
概要
親が亡くなったが不動産や借金など相続するものが複数あり、また相続人も多かったので手続きが進まず3ヶ月の熟慮期間を過ぎてしまった。
失敗による被害額 | -1100万円 |
被害額の内訳
- 預貯金:400万円
- 不動産:1500万円
- 借金:3000万円
相続放棄する際の依頼における弁護士、司法書士、法テラスへの依頼を比較
弁護士
弁護士に依頼する場合にかかる費用
約5~10万円
弁護士に依頼するメリット
- 必要書類の取得・作成を任せられる
- 代理人として各種手続きを一任できる
弁護士に依頼するデメリット
- 自分で相続放棄するのに比べると費用が大幅にかかる
- 司法書士に依頼するのと比較して費用が高い
相続放棄する際に弁護士へ依頼すると
弁護士に相続放棄の依頼をすると申述書の作成や戸籍謄本の取得などの業務を依頼人の代わりに行ってくれるのはもちろん、申述書の提出の依頼や、家庭裁判所から相続放棄の意思についての照会書が送られてきた場合の回答なども代理で行ってくれます。
家庭裁判所で行われる全ての業務を代理で任せたい人や、相続人が複数おり相続人同士で揉めてしまいそうな人は弁護士に依頼した方が良いでしょう。
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司法書士
司法書士に依頼する場合にかかる費用
約3~5万円
司法書士に依頼するメリット
- 必要書類の取得・作成を任せられる
- 弁護士に依頼するのと比較して費用が安い
司法書士に依頼するデメリット
- 自分で相続放棄するのに比べると費用が大幅にかかる
- 申述書の提出などは依頼人が行う必要がある
相続放棄する際に司法書士へ依頼すると
司法書士に相続放棄の依頼をすると申述書の作成や戸籍謄本の取得などの業務を依頼人の代わりに行ってくれます。
ですが、弁護士に依頼した場合と違い申述書の提出は依頼人本人行う必要があり、家庭裁判所から相続放棄の意思についての照会書が送られてきた場合の回答なども本人が行う必要があります。
専門的な知識が求められる部分だけ依頼して、その他の作業は自身で行い費用を抑えたいという人は司法書士に依頼をした方が良いでしょう。
法テラス
法テラスに依頼する場合にかかる費用
約4~10万円
法テラスに依頼するメリット
- 無料で法律相談が受けられる
- 弁護士に直接依頼するより若干費用が抑えられる
- 弁護士費用の立替制度がある
法テラスに依頼するデメリット
- 自分で相続放棄するのに比べると費用が大幅にかかる
- 弁護士を選べない
- 審査などで依頼までに時間がかかる
相続放棄する際に法テラスへ依頼すると
収入が一定額以下であるれば、法テラスを利用して相続放棄をすると無料で法律相談が受けられたり弁護士費用を立て替えてくれたりといったメリットが存在します。
一方で、自身で弁護士を選べないために相続放棄に慣れていない弁護士に当たってしまう可能性や、法テラス側の収入や資産要件の審査に時間がかかり相続放棄可能な3ヶ月間に手続きが間に合わない可能性もあります。
大幅に費用が変わるわけではないため、どうしてもお金の用意が出来ない場合以外は直接司法書士や弁護士に依頼した方が良いかもしれません。
相続放棄を兄弟姉妹まとめて弁護士に依頼することはできるか?
相続放棄を兄弟姉妹まとめて行える?
兄弟や姉妹のように相続順位が同じ者であれば手続きをまとめて相続放棄をすることが可能です。
逆に兄弟や姉妹のうち1名だけが相続放棄するということも可能で、この場合は他の相続人に許可を取る必要もありません。
兄弟姉妹まとめて弁護士へ依頼すると安くなる?
兄弟や姉妹でまとめて相続放棄をすると戸籍の取得の手間が減るため費用を抑えることができます。
また、複数人でまとめて相続放棄を申し込んだ場合に割引が適用される弁護士事務所も存在します。
相続放棄を弁護士に依頼する場合の流れ
相続放棄をする場合、被相続人が亡くなり自身のために相続が始まったと知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出する必要があります。
戸籍の取得や財産調査などには時間がかかるため、被相続人が亡くなったら可能な限り早く専門家に相談して財産の処分についての方針を決めましょう。初回相談料無料の弁護士も多数存在します。
弁護士に依頼をした方が良いと判断した場合は実際に弁護士に依頼をします。
委任契約を結ぶことで弁護士が代理人となって戸籍の取得や必要書類の作成・提出を行ってくれます。
相続放棄の申述書が家庭裁判所に提出されると、相続放棄の意思を確認するための照会書が裁判所から送られてきます。
弁護士に手続きを代理で依頼している場合は照会書は弁護士事務所に届くことが多く、照会書の回答は弁護士が代理で記入、または記入のサポートをしてくれます。
照会書の提出が完了し裁判所で受理されると、弁護士または申述人宛てに「相続放棄申述受理通知書」が届きます。
受理通知書の受け取りをもって相続放棄は成立し相続の義務は無くなります。
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相続放棄についてよくある質問
相続放棄で弁護士がいない割合は?
相続放棄については財産調査などをせずに全ての財産の相続を放棄してしまえば良いため弁護士に依頼をする人の割合はけっして多くありません。
一方で遺産が多くあり遺産分与をした場合は、令和5年度の司法統計では家庭裁判所での遺産分割事件の80.5%に弁護士が関わっていたとされています。
相続放棄する前にしてはいけないことは?
相続放棄をする前に被相続人の財産を使用・処分してしまうと「法定単純承認」とされ相続を行ったものとされてしまいます。
形見分けや不動産の売却など以外に、携帯電話の解約なども財産の処分とされてしまうため注意が必要です。
相続放棄した家の解体費用は誰が払う?
相続放棄をした家に住んでいなければ、解体費用は「他の相続人」か「相続財産清算人」が支払います。
相続放棄をした家に住んでいた場合は財産の保存義務が発生するため、相続放棄が完了していたとしても本人が解体費用を支払う必要があります。
相続放棄が成立する割合は?
適切な手続きを行えば相続放棄が成功する可能性は非常に高く、令和5年度の司法統計によると相続放棄の申述の受理件数は28万2785件であったのに対し却下件数は395件となっており、却下率は約0.14%となっています。
まとめ:相続放棄で弁護士に依頼する際の費用 | 司法書士、法テラスとの違い
この記事のまとめはこちらです。
- 相続放棄とは「亡くなった被相続人の財産を全て相続しない」ということで、令和5年度の統計では相続放棄の申述の受理件数は28万2785件で過去最多を更新した。
- 相続放棄は自分自身で行う以外に司法書士か弁護士に依頼する方法があり、費用は自分自身<司法書士<弁護士の順に高くなる。
- 相続放棄の可能な期間は決まっているため、期限まで時間があれば司法書士、時間がないか手続きを全て代理で行ってほしい場合は弁護士に依頼すると良い。
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