このページでは、家賃滞納トラブルが発生した場合に対応方法や、弁護士に対応を依頼した場合の具体的な弁護士費用について紹介しています。
また、家賃滞納トラブルが発生した際に大家側がしてはいけない行為についても解説しています。
不動産物件の家賃滞納率について把握しよう
月末での家賃1ヶ月滞納率は近年は低下傾向にあり、2022年度の全国平均は0.8%、首都圏では0.4%と低いものの、関西圏は3.3%、その他のエリアは2.3%となっています。
家賃が滞納すると大家側としても収入が無くなってしまい、家賃を住宅ローンの返済に充てていた場合は大家自身で支払いを負担しなければいけなくなります。
家賃滞納された場合の相談先一覧
弁護士
弁護士によっては無料で初回相談を受け付けているところが多数存在します。悩んだらまずは不動産トラブルに強い弁護士に無料相談をしてみるのが良いでしょう。
法テラス
家賃滞納のような民事事件は法務省が管轄している「法テラス」での無料法律相談が可能です。ただし使用には収入や資産の基準をクリアする必要があります。
公益社団法人 東京共同住宅協会
民間賃貸住宅経営者・入居者・住宅関係企業を支援しつづけている公益団体です。地主・家主の不動産に関する悩みの相談を無料で受付けています。
公益社団法人 全国賃貸住宅経営協会
賃貸住宅経営の健全なる発展、住宅政策への協力、業界の地位向上、そして国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することを目的として設立された公益団体です。賃貸住宅に関する様々な悩み相談を無料で行っています。
家賃の滞納は犯罪になるのか?
家賃の滞納については基本的に民事扱いとなります。一般的には家賃の滞納が3ヶ月以上続き督促状も無視されていると賃貸借契約の解除、強制退去へと進んでいくことになります。
なお、入居者側が契約時から家賃を支払う意思がなかったと認められる場合は詐欺罪に問える可能性もありますが、入居者側が大家側を騙す意思があったことを証明する必要があるため、刑事事件化するのは現実的には難しいのが実情です。
家賃滞納を弁護士に相談すると
家賃滞納を弁護士に相談するメリット
家賃滞納者が請求に応じやすくなる
家賃の支払いの督促状などを弁護士を通じて出すことで、家賃を滞納している入居者に大家側の真剣度が伝わり家賃の支払いに応じる可能性が高まります。
適切な金額の回収がしやすくなる
入居者に家賃の支払い能力が無い場合の対応や、裁判ではなく和解で解決しようとした場合の落とし所など、弁護士であれば適切な金額を回収するための様々なアプローチ方法を熟知しています。
裁判に発展した場合にスムーズに対応できる
入居者が交渉に応じない場合、滞納している家賃の請求や入居者の強制退去は最終的には裁判になります。
最初から弁護士に相談・依頼することで督促や裁判をスムーズに行うことが可能です。
手続きの書類作成などを代行してもらえる
督促状の作成や内容証明郵便の方法、さらに裁判になれば各種書類の準備などが必要になります。
弁護士を雇えばこれらの専門的な作業を全て弁護士側に一任することも可能です。
家賃滞納を回収するために弁護士に相談する際の費用
相談料 | 5,000~10,000円/1時間 |
着手金 | 10万円~30万円程度 |
報酬金 | 回収金額の20%前後 |
滞納している家賃を回収する際の弁護士費用はおおよそ40万円程度かかります。
成功報酬は回収できた家賃に対して弁護士事務所が設定する割合で請求される場合が多く、月の家賃が高い物件であったり滞納期間が長かったりすると、その分だけ成功報酬も高くなります。
回収金額 | 報酬金 |
---|---|
月10万円×3ヶ月分 | 6万円 |
家賃滞納を弁護士に相談して回収した事例
物件情報 | マンション |
滞納金額 | 約40万円 |
入居者は滞納した家賃を支払わないまま任意退去した。
元入居者が支払いをしないため連帯保証人に大家側から家賃の支払いを要求も拒否された
弁護士に依頼をしてからは、元入居者・連帯保証人に滞納してた家賃の督促状を内容証明で送付し、一ヶ月ほどで連帯保証人から滞納してた家賃が全額支払われた。
物件情報 | オフィスビル |
滞納金額 | 約150万円 |
入居者は物件を店舗として利用していたが、経営状況が悪化し家賃支払いがされないまま営業を続けていた。
弁護士に依頼をし、裁判は入居者側が抵抗感を示すと考え、退去はしてもらうものの滞納した家賃を分割で支払うことを認める内容証明を送付し、二ヶ月ほどで滞納してた家賃が全額支払われた。
家賃滞納者の賃貸を強制退去させる場合の弁護士費用
実際に家賃を滞納している入居者を強制退去させる際に発生する弁護士費用について詳しく解説していきます。
家賃滞納者を強制退去させることはできる?
家賃の滞納が一定期間続き家賃支払いの督促にも応じない場合、入居者を強制退去させることは可能です。
なお、1度でも家賃を滞納したらすぐに強制退去できるというわけではなく、また入居者との交渉が難航した場合は最終的に裁判を起こして強制退去させる形になります。
家賃滞納者の賃貸を強制退去させる場合の弁護士費用
相談料 | 5,000~10,000円/1時間 |
着手金 | 10万円~30万円程度 |
報酬金 | 20万円程度〜 |
家賃の滞納者を強制退去させる場合の弁護士費用はおおよそ60万円程度かかります。
成功報酬は「強制退去させることが出来たという事実」に対して発生するので弁護士事務所によって基準が異なり、一律の金額を設定しているところもあれば、物件の月の家賃などに応じて成功報酬が変動するところもあります。
滞納した家賃を回収および強制退去させる場合の流れ
入居者が家賃を滞納した場合、まずは電話や書面などで入居者に家賃の支払いを催促します。
入居者と連絡が取れないなど「入居者による支払いが難しい」と判断された場合は連帯保証人や保証会社へ連絡をします。
催促をしたのにもかかわらず家賃の滞納が続く場合、訴訟へと発展する可能性があるため内容証明郵便での督促状の送付も行いましょう。
内容証明を行うことで入居者や連帯保証人に更なるプレッシャーを与えることが出来るうえ、裁判の際の証拠にもなります。
督促状には支払期限以外にも「支払われない場合は賃貸借契約の解除を行う」という旨を明記しておきましょう。
内容証明での督促状を送っても期限内に家賃が支払われない場合、督促状の内容に従い賃貸借契約の解除を通知します。
一般的には支払いの督促に応じず3ヶ月以上家賃を滞納している場合は解除が認められる傾向にあります。
督促に応じず家賃の滞納が続く場合、請求額が60万円以下であれば少額訴訟を、60万円より多ければ通常訴訟を行いましょう。
少額訴訟であれば即日判決が言い渡されるので1ヶ月半程度の短期間での問題解決ができます。
不動産の明け渡しについては、契約が解除されたからといって大家側が勝手に入居者を追い出すことは出来ないため、入居者が退去してくれない場合は明け渡し訴訟を裁判所に申し立てましょう。
不動産の明け渡しを認める判決が確定すると強制退去させることが出来ますが、判決が出るまでには数ヶ月〜半年程度の期間を要するのが一般的です。
裁判で建物を明け渡す命令が出たにもかかわらず入居者が退去しない場合に、強制執行により強制退去させることが可能です。
なお、強制執行は裁判所職員である執行官が行う権限を持っているため、執行官の立ち会いがない場では強制退去させられません。
この段階でも大家側が勝手に入居者の家財道具を運び出したり鍵を交換したりすることは出来ないので注意しましょう。
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取扱保険会社一覧
家賃滞納・賃貸の強制退去に関するよくある質問
賃貸の強制退去を請求した場合の原状回復費用は誰が払う?
原状回復費用は借主が負担します。借主に支払い能力が無い場合は連帯保証人や保証会社が代金を立て替えます。なお、通常の原状回復費用請求と同様に、経年劣化や通常損耗については借主に請求することは出来ません。
大家都合の退去で立ち退き料はいくらですか?
大家都合での立ち退き料は一般的に「家賃の半年〜1年程度」と言われています。前提として、借地借家法により大家は正当な理由なく入居者に立ち退きを強制することができないため、入居者との交渉次第で金額は大きく変わる可能性があります。
まとめ:家賃滞納を弁護士に相談すると?賃貸を強制退去させる場合の費用は?
この記事のまとめはこちらです。
- 家賃の滞納が発生してもすぐに入居者を退去させることは出来ず、まずは電話や書面などで入居者に家賃の支払いを催促をする。
- 家賃滞納トラブルを弁護士に依頼した場合の弁護士費用は、「相談料:1時間あたり5,000~10,000円」、「着手金:10万円~30万円程度」、「成功報酬:回収金額の10%〜15%程度、強制退去の成功に対して20万円〜」
- 家賃滞納者の強制退去は、督促の無視・家賃滞納3ヶ月以上などの条件をクリアし、明け渡し訴訟に勝訴することで行うことが出来る。権限は大家ではなく裁判所の執行官が持つので注意。
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