厚生労働省の調査によると2023年度の日本の離婚件数は18万3808組で、同じ年度の婚姻件数も考慮すると単純計算で「3組に1組の夫婦が離婚する」というのが実情です。
実際に離婚する場合も、双方合意のもと当事者のみで離婚が行われる「協議離婚」が9割近いものの、約8~10%が家庭裁判所の調停員会を利用した「調停離婚」、約3%ほどは実際に裁判を行う「裁判離婚」となっています。
裁判をした場合は基本的に弁護士を利用することになりますが、「協議離婚」や「調停離婚」であっても子どもの親権や養育費の取り決め、不倫があった場合は慰謝料の請求など、当事者だけでスムーズに離婚が成立するケースはそう多くありません。
この記事では実際に離婚をする際にどのくらいの費用がかかるのか、また弁護士費用についても詳しく解説しています。
「弁護士を雇うお金がなくて…」という方にも対処法を複数ご紹介します。
離婚裁判で弁護士に依頼する場合の相場

離婚裁判で弁護士を雇った場合、最低でも数十万円は弁護士費用が発生します。
最初に弁護士に相談をする際の「相談料」と、実際に弁護士に依頼をする際の「着手金」は裁判の結果にかかわらず発生し、慰謝料・養育費・財産分与などの経済的利益を勝ち取った場合はさらに「報酬金」が発生します。
協議離婚や調停離婚であってもお互いの話し合いが上手くまとまらなかった場合は弁護士に相談・依頼することがあります。その場合も裁判離婚ほどではありませんが数万円〜数十万円の弁護士費用が発生する可能性があります。
弁護士なしで協議離婚にかかる費用の相場
弁護士を雇わず協議離婚をする場合、離婚届を役所に提出するだけのため基本的に費用はかかりません。
ですが離婚協議書を公正証書として作成する場合、数千円~数万円の費用が発生します。
弁護士なしで離婚裁判にかかる費用の相場
収入印紙代 | 約13,000円〜20,000円 |
郵便切手代 | 約6,000円 |
協議離婚で弁護士に依頼する場合の相場
相談料 | 1時間あたり5,000円程度 |
着手金 | 20万円〜30万円 |
報酬金 | 獲得金額の10~20%程度 |
離婚裁判で弁護士に依頼する場合の費用の相場
収入印紙代 | 約13,000円〜20,000円 |
郵便切手代 | 約6,000円 |
相談料 | 1時間あたり5,000円程度 |
着手金 | 30万円〜50万円 |
報酬金 | 獲得金額の10~20%程度 |
離婚裁判で弁護士費用がない場合の対処法

弁護士保険を活用する
弁護士保険に加入すれば、月々2000~3000円程度でいざという時の弁護士費用が補償されます。離婚以外に交通事故や相続トラブルなどの弁護士費用も補償範囲なので、トラブル全般に備えておきたい方には非常におすすめです。

弁護士費用の分割払いをお願いする
現在、多くの弁護士事務所では弁護士費用の分割払いに対応しています。心配な場合は、弁護士への相談の段階で「弁護士費用の分割払いが可能か」の確認を事前にしておくと良いでしょう。

訴訟救助制度を活用する
訴訟に必要な費用を支払う資力がないと認められ、なおかつ勝訴の見込みがないとはいえないと裁判所が判断した場合に、裁判費用の支払いを一次猶予してもらえる法律上の制度です。裁判時に申し立てが必要になります。
弁護士にかかる費用を相手に支払わせることはできるのか?
弁護士費用については勝訴・敗訴に関係なく原則として相手に請求することは出来ません。
弁護士費用を敗訴した側が支払うのは一見公平に感じられますが、「もし負けたら相手の弁護士費用も支払わないといけないのなら…」と訴える側が訴訟を思いとどまってしまう可能性があります。
そのため、法律で定められた訴訟費用については敗訴側の負担が認められる一方で、弁護士費用については原則自己負担となっています。
なお、不貞行為などの不法行為があった場合の損害賠償の訴訟においては相手側に弁護士費用も請求出来る場合があります。
ですがその場合も弁護士費用全額を請求できるわけではなく、損害賠償額の一割程度(慰謝料100万円が認めれれたら10万円分)を限度に認められることになります。
弁護士保険を活用する | 申し込みから手続きの流れ
弁護士保険とは

弁護士保険は2013年頃から日本で始まった比較的新しい保険商品で、幅広い事故やトラブルに対しての弁護士費用を補償してくれる保険です。
月々2000~3000円程度の保険料で、弁護士への相談料や、実際に弁護を依頼した際の弁護士費用の大部分〜全額を保険金として受け取ることが出来ます。
実際に弁護士を雇うと数十万以上の費用がかかってしまうのが実情ですので、「万が一のトラブルに備えたい」という方には非常におすすめです。
ヨーロッパでは2000年代時点で既に40%以上の普及率を誇っており、日本でも今後の普及が予想されます。
弁護士保険で補償される範囲
特定偶発事故








一般事故














他にも様々なトラブルが保険金支払の対象となります。
弁護士保険 | 申し込みから保険請求までの流れ
弁護士保険の多くはWeb上で簡単に申し込みをすることができます。
「日本在住で満18歳以上」であれば基本的に加入可能なため、加入条件も厳しくはないと言えます。
申込み完了後に保険会社での審査を通過すると契約成立となり、その後に第1回目の保険料の支払いが行われます。
注意したいのが、契約完了直後から補償範囲全てのトラブルに対して保険金が支払われるわけではなく、トラブルの種類によって一定の間保険金支払いの対象にならない期間が存在します。
保険会社により若干異なりますが、3ヶ月程度の「待機期間」と1~3年程度の「不担保期間」が設定されているのであらかじめ注意が必要です。

トラブルが発生した場合、まずはご自身の加入している弁護士保険を利用して弁護士へ初動対応の相談をしましょう。保険会社と提携している弁護士を紹介され無料で相談できる場合が多いです。
実際に問題が解決したあと、弁護士から保険会社に実際にかかった弁護士費用の見積もりを提出し、保険会社での審査を経たのち保険金が弁護士または契約者に支払われます。
弁護士費用のどの程度の割合が支払われるかは契約している保険会社や保険プランによって変わってくるため、契約時に必ず確認をしましょう。
お金がない人でも頼める弁護士費用の分割払い制度

現在、多くの弁護士事務所では弁護士費用の分割払いに対応しています。
実際に弁護士を雇うと数十万以上の費用がかかってしまうため、「弁護士を立てたいけど費用面が心配」という方は、弁護士への相談の段階で「弁護士費用の分割払いが可能か」の確認を事前にしておくと良いでしょう。
弁護士事務所によっては分割払い以外にも、状況によっては相談料・着手金の後払いを認めていたり、トラブルの内容によって「完全成功報酬制」を謳っていたりするところもあります。
訴訟救助制度の活用 | 他に安くなる制度はあるか?

弁護士費用以外にも、裁判所に認められた場合は「訴訟救助」という裁判費用の支払いを一時猶予してもらえる法律上の制度も存在します。
・資力がないこと
・勝訴の見込みがないとはいえないこと
裁判所に訴訟救助の申し立てをして、上記の2つの条件を満たしていると裁判所が判断した場合、裁判費用の一部〜全額の支払いが一時的に猶予されます。
あくまで「裁判費用」の支払いが猶予されるだけなので、弁護士を雇った場合などに発生する「弁護士費用」は自身で用意する必要があります。
他にも弁護士費用、裁判費用が安くなる制度はあるか?
上記の4つの制度以外で裁判費用・弁護士費用を安く抑える制度・方法は残念ながらあまりないのが現状です。
裁判においては法律の専門知識が必要とされる場面が非常に多いため、困った際にはまずは弁護士などの専門家に「どうすれば費用を抑えてトラブルを解決できるか」の相談をするのが得策です。
一般的には協議離婚<調停離婚<裁判離婚の順に弁護士費用は多くかかってきてしまうので、早期に弁護士に相談することで裁判まで進まずに離婚が成立し、結果として弁護士費用を抑えることが出来るかもしれません。
なお、金額を気にせずに弁護士への相談・依頼を行いたい場合は事前に弁護士保険への加入をおすすめします。
まとめ:離婚裁判で弁護士費用がない場合 | お金がない人は頼めるのか?
この記事のまとめはこちらです。
- 現在の日本ではおおよそ3組に1組の夫婦が離婚をし、離婚時に裁判を起こし弁護士を雇った場合は数十万円以上の弁護士費用が発生する。
- 離婚裁判の費用を抑える方法としては「弁護士保険への加入」
- 「弁護士費用の分割払い」「訴訟救助制度」の3つが挙げられる。
- 離婚トラブルが起きた際にはまずは弁護士に初動対応を相談して、そのうえで自身の経済状況なども鑑みてどのような離婚手順を踏んでいくかを検討するのがおすすめ。
弁護士への相談を検討している場合は、弁護士保険の加入がおすすめです。下記から、弁護士保険の比較することができます。