厚生労働省の調査によると2023年度の日本の離婚件数は18万3808組で、同じ年度の婚姻件数も考慮すると単純計算で「3組に1組の夫婦が離婚する」というのが実情です。
離婚の中では9割近くが法的な手続きを行わず夫婦での話し合いで離婚を成立させる「協議離婚」ですが、約8~10%が家庭裁判所の調停員会を利用した「調停離婚」となっています。
このページでは離婚調停についての説明とその流れ、そして弁護士を立てた場合の費用などについてご説明します。
離婚調停とは

離婚調停とは家庭裁判所の調停委員会が夫婦双方の事情や意見を聴くなどして話し合いにより離婚を成立させるもので、日本における離婚の約8~10%は調停による離婚になります。
離婚調停においては夫婦が別々に調停委員と話し合いを行うため、夫婦同士での話し合いが上手くいかなかった場合であっても離婚手続きが進展する可能性が高いです。
離婚調停の概要
離婚調停の具体的な進行の仕方
調停は以下のように進んで行きます。
- 家庭裁判所への調停の申し立て
- 第1回の調停の呼び出し
- 調停の進行(半年〜1年程度)
- 調停の終了(成立/不成立/取り上げ等)
- 離婚届の提出(調停成立の場合)
離婚調停が行われる回数と頻度について
調停は1度で成立することは稀で、1ヶ月に1度くらいのペースで調停委員との話し合いを行い、半年〜1年程度で調停の結果が決まることが一般的です。調停の規定回数などは存在しないため、状況によって早期に終了することも長期間に渡る可能性もあります。
離婚調停が成立した場合に必要な手続き
離婚調停が成立すると同時に離婚も成立となりますが、調停成立後10日以内に申立人は離婚届を役所に提出する必要があります。また、その際に調停調書謄本なども必要になるので事前にできる限り準備をしておきましょう。
離婚調停が成立しない場合の手続き
離婚調停が成立しなかった場合は特別な手続きは必要ありませんが、離婚問題をどうするか再検討する必要があります。調停が不成立でも引き続き離婚を希望する場合は離婚裁判に進んでいきます。
自身で離婚調停をする場合にかかる費用は
離婚調停においては約40%ほどは夫婦双方が弁護士をつけずに調停を行っているという統計があります。
実際に弁護士を雇わずに離婚調停の申立などを全て自分たちで行った場合、かかる費用は「収入印紙代」「郵便切手代」「夫婦それぞれの戸籍謄本の取得費用」などで合計で数千円程度になります。
離婚調停を進める場合の注意点
調停が成立してしまうと弁護士も覆せない
調停が成立し調停調書に記載された内容は確定した判決と同じ効力を持つため、弁護士であっても後から覆すということは基本的に出来ません。そのため、調停の内容に不満がある場合は安易に調停を成立させないようにしましょう。
調停委員の心証が悪くなる態度や発言に気を付ける
相手方への不満から感情的な発言を調停委員に対して行ってしまうと、調停委員(または裁判官)の心証を悪くしてしまう可能性があります。調停委員も人間ですから心証の悪化から相手方に有利に調停が進んでしまう可能性も否定できません。
離婚調停でも「弁護士」や「法テラス」への無料相談を活用しよう
離婚調停を進めるうえで不安を感じたり、相手方が弁護士を雇ったりしてきた場合は弁護士などの法律の専門家に相談してみることも検討してみましょう。
具体的な法的アドバイスがもらえたり、調停への同席や代理交渉をしてもらえたり、申立書や事情説明書の作成をしてもらえたりとメリットは複数あります。
弁護士へ無料相談する
弁護士によっては無料で初回相談を受け付けているところが多数存在します。悩んだらまずは離婚トラブルに強い弁護士に無料相談をしてみるのが良いでしょう。
法テラスの無料相談を活用する
離婚トラブルのような民事事件は法務省が管轄している「法テラス」での無料法律相談も使用できます。ただし使用には収入や資産の基準をクリアする必要があります。
離婚調停で弁護士に同席を依頼する必要はあるのか

離婚調停については必ずしも弁護士を雇う必要はありませんが、弁護士を雇うことは多くのメリットが存在するのも事実です。
夫婦間の話し合いがスムーズに行われない場合や調停をするうえで不安がある場合は弁護士の助けを借りるという選択肢も考えてみましょう。
離婚調停で弁護士に同席を依頼するべきケース
離婚調停に漠然とした不安がある方
離婚調停をするためには申立書や事情説明書などの書類を作成する必要があります。また、夫婦双方の意見を聴いてくれる調停委員に対して自らの主張を正しく伝える必要があります。
弁護士であればこれらの手続きや交渉のサポートや代理も請け負ってくれます。
財産や養育費などお金に関する問題が多い場合
財産分与や養育費の支払いなど金銭面での取り決めを多くする必要がある場合は、法律の専門知識を持ち合わせた弁護士に適切な金額の提案をしてもらうべきでしょう。
調停委員も必ず法的な知識を持ち合わせているというわけではないので注意が必要です。
離婚調停で弁護士に同席を依頼するメリット・デメリット
離婚調停で弁護士に同席を依頼するメリット
有利な状態で交渉を進めやすくなる
弁護士は「法律」と「交渉」のプロなので、法的に可能な範囲で依頼者の要望に沿うように離婚調停のサポートを行ってくれます。自身が法律に詳しくないために不利な状況に追い込まれることもなくなり、調停委員にも適切に自らの主張が伝える事が出来ます。
調停がスムーズに進み、回数や時間が減らせる
弁護士がいれば調停に必要な書類の準備のサポートや調停委員に対してのわかりやすい主張が可能になるため、結果として調停がスムーズに進み調停にかかる時間を減らすことが出来ます。調停が短くなると費用面や精神面でもメリットが多いです。
離婚調停で弁護士に同席を依頼するデメリット
希望する成果を獲得できないケースもある
離婚においては法的な観点から見た場合の相場が存在するため、弁護士を立てたとしても依頼者の希望する成果が得られない可能性も存在します。その場合も着手金は必ず発生するのでまずは法律相談を活用しましょう。
高額な弁護士費用がかかってしまう
弁護士を雇わず離婚調停を成立させると費用は数千円程度に収まる場合もあります。一方で弁護士を雇うと数十万円単位の費用が発生するため、費用面だけで考えると弁護士を雇うことは大きな負担と言えます。
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離婚調停における同席した弁護士の役割とは?弁護士のみ出席は可能?
離婚調停における同席した弁護士の役割とは?
弁護士の役割
- 依頼人の主張を分かりやすく調停委員に伝えてくれる
- 調停委員からの提案や質問にその場で適切に対応してくれる
離婚調停で弁護士に同席してもらうことで、自身の主張をスムーズに調停委員に伝える事が出来たり、相手方からの提案・主張や調停委員から質問に適切に対応できたりと多くのメリットが存在します。
調停委員はあくまで中立な立場なので、適切で分かりやすく説明をしなければ調停委員に正しく自身の気持ちや主張が伝わらない可能性があります。
それを防ぐためにも弁護士に同席してもらい主張のサポートまたは代理をしてもらうことは有利に離婚調停を進めることに繋がります。
離婚調停において弁護士のみ出席することは可能か?
弁護士のみ出席する場合の注意点
- 「調停」という制度上、基本的には本人の出席が求められてる
- 依頼者の意図が正しく伝わらない可能性がある
- 弁護士の日当や交通費が発生する
離婚調停において代理として弁護士のみが出席することは認められているものの、依頼者が出席できない正当な理由がある場合の例外的な扱いとされています。
離婚調停は調停委員と離婚当事者の話し合いによる問題解決を目的としているので、基本的には弁護士だけでなく依頼者本人の出席も求められます。
離婚調停で弁護士に同席を依頼する場合の費用
相談料 | 5000円~1万円/1時間程度 |
着手金 | 20〜30万円程度 |
報酬金 | 獲得金額の10~20%程度 |
離婚調停で弁護士も同席する場合、最終的には40~70万円ほどの費用が発生するのが一般的です。
相談料・着手金・成功報酬以外にも、弁護士を家庭裁判所に呼んだ際の日当や、収入印紙代や各種手数料などの諸々の実費も弁護士費用として発生します。
法律相談など依頼をする前段階で具体的にどのような費用が発生するかを弁護士側とよく確認をしておきましょう。
離婚調停で弁護士に同席を依頼する場合の流れ
弁護士に依頼をした場合、たとえ望む結果が得られなかったとしても数十万程度の費用が発生してしまうので、そもそも自分が弁護士に依頼をすべき状況なのか確認しましょう。
「一向に話し合いが進まない」「相手が弁護士を立てて不安」など、弁護士に依頼すべき状況の場合はまず弁護士に相談をしてみましょう。初回相談料無料の弁護士も多数存在します。
弁護士に依頼をした方が良いと判断した場合は実際に弁護士に依頼をします。
なお、いきなり委任契約を結ぶのではなく法律相談をして現状の整理と実際に契約をするとどのくらい費用が発生するのかなどを事前に確認しましょう。

調停の申立書を作成して、申立を受ける側の住所地を管轄する家庭裁判所(または当事者が合意で定める家庭裁判所)に調停の申し立てを行います。
別居などで相手方と住んでいる場所が離れている場合、調停への出席が負担となる場合があります。
夫婦双方の出席できる日程を調整しながら調停が行われていきます。弁護士の同席を希望する場合は弁護士との日程調整も必要になります。
夫婦は同じ日に呼び出しをされるものの直接話し合いをすることはなく、当事者と2名の調停委員での話し合いが基本となります。
夫婦双方が1回30分程度の調停委員との話し合いを二往復ほどするため、1日で2時間程度かかるのが一般的です。
調停が最終的に成立または不成立として決定、または調停が取り下げられると調停は終了となります。
調停成立の場合は調停の内容が調停調書としてまとめられ離婚が成立し、調停不成立の場合はそのまま離婚裁判へと進むかを弁護士と相談しましょう。
調停が成立して離婚が認められた後は10日以内に申立人が離婚届を提出する必要があります。
夫婦の本籍地または所在地の市区町村役場の戸籍事務担当課に離婚届を提出しますが、その際に離婚届だけでなく調停調書謄本・本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)などが必要になるので注意しましょう。
離婚調停についてよくある質問
離婚調停で弁護士がいない割合は?
近年は双方ともに弁護士をつけない調停の割合は減少しており全体の40%弱程度となっていて、全体の半数以上が双方または片方は弁護士をつけて調停を行っています。
離婚調停で不利になる言葉は?
調停委員からの心証が悪くなる発言は離婚調停においては不利と言えるでしょう。
「相手方の一方的な悪口」「調停委員への暴言」などが該当します。
離婚調停は女性が有利に働きますか?
調停はあくまで調停委員会を介した夫婦双方の話し合いのためどちらが有利(または不利)ということはありません。
ただし、例えば「子供の親権の獲得」という点では一般的に母親の方が有利と言えます。
離婚調停で離婚が成立しない割合は?
令和5年度の司法統計では、調停が不成立となったのは全体の約18%になります。
まとめ:離婚調停とは | 弁護士に同席を依頼する必要はあるか?役割は?
この記事のまとめはこちらです。
- 離婚調停とは「家庭裁判所の調停委員会が夫婦双方の事情や意見を聴くなどして話し合いにより離婚を成立させる離婚形態」で、日本における離婚の約8~10%は調停による離婚である。
- 夫婦同士による話し合いでは離婚が進まない場合に調停は利用され、調停においても離婚が成立しなかった場合は裁判へと進んでいきます。調停を経ずに離婚裁判を起こすことは基本的に出来ません。
- 離婚調停での弁護士費用は平均して40~70万円ほどかかるものの、法律の知識がなく不安な場合や、調停委員に自分の主張を上手く伝える自信がない場合は弁護士を雇って調停に同席してもらうのはメリットが多い。
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