このページでは、離婚の慰謝料請求できる条件について紹介しています。加えて、慰謝料請求の相場や、弁護士に依頼する場合の費用についても紹介しています。
また、弁護士なしでも慰謝料請求することができるか、慰謝料請求において弁護士へ無料相談が可能かなど弁護士にかかる費用を減らす方法なども紹介しています。
離婚の慰謝料請求できる条件とは
基本的に離婚の慰謝料請求は、民法709条の「不法行為に基づく損害賠償請求権」に基づいて権利が与えられています。すべての離婚に対して慰謝料請求ができるわけではありません。
下記では、どのような離婚の場合に慰謝料請求ができるか紹介します。
配偶者に不貞行為があった場合
恋愛においては自由ですが、結婚は「婚姻」に基づいて契約であるため、配偶者に不貞があった場合は契約違反とみなされます。不貞があった場合には、離婚の請求、および慰謝料を請求することができます。
- 不倫や浮気などが不貞行為にあたります。二人きりで食事していたのみなどは、不貞行為とみなすのは難しいです。
言葉もしくは肉体的な暴力があった場合
暴力を受けた場合は、受けた怪我などを写真として証拠を残し医師に診察してもらうことで慰謝料請求ができます。物理暴力以外にも罵倒やパートナーを貶め精神的苦痛を受けた場合にも慰謝料請求ができる可能性があります。
- 言葉による暴力を受けた場合は、第三者にもわかるように証拠を残さなければなりません。
悪意の遺棄があった場合
民法第752条では「夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。」として定められているため、「一方的な別居」や「生活費を払わない」などは協力義務を無視しており、悪意の遺棄とみなされます。
- DV被害から避けるために別居した場合などは悪意の遺棄とはみなされません。
夫婦関係が継続できないような問題があった場合
パートナーから直接被害を受けていなくても慰謝料請求ができる場合があります。相手の肉親から肉体的、もしくは精神的苦痛を受けた場合、他にもパートナーが犯罪を起こしてしまった場合などが該当します。
- 他にも健康上問題ないにも関わらず、一方的に性交渉を拒むなども慰謝料請求できる場合があります。
性格の不一致で離婚する場合に慰謝料請求はできる?
男性、女性ともに最も離婚の理由として挙げられる、性格の不一致による離婚の場合、基本的には慰謝料請求をすることはできません。
慰謝料請求ができるのは、主にパートナーに不法行為があった場合に限ります。性格の不一致は、どちらかに原因があるわけではないため、慰謝料請求はできません。
離婚の慰謝料請求は増額することはできる?

慰謝料が一度確定した場合でも、離婚協議書や調停調書などに「精算条項」について定めていなければ増額できる可能性があります。
精算条項について定めてしまうと、相手方の同意がない限り、増額の請求をすることはできなくなります。殆どのケースが難しいと言えるでしょう。
精算条項とは、当事者間の内容の権利関係においては、そこに記載されたもののみであり、それ以外の債権や債務が発生しないことを意味します。
- また、裁判によって慰謝料が確定した場合でも、判決と同時に金額が確定することになるため、増額を請求することはできません。
離婚の際の慰謝料の相場はいくら?
離婚理由 | 料金の相場 |
---|---|
不貞行為 | 100〜500万円 |
DV・モラハラ | 50〜500万円 |
悪意の遺棄 | 50〜300万円 |
その他 | 0〜100万円 |
一般的な離婚の際の慰謝料の相場は、50〜300万円と言われています。離婚理由にもよるため、左図を確認してください。
離婚の慰謝料請求には制限がありません。そのため、かなり慰謝料請求をかなり高額になるケースもあります。
ですが、慰謝料請求を高くしようとし過ぎてしまうと争いに発展し、財産分与や養育費を決める際にも揉め事が増えたりなどで離婚成立が長引くというケースもあります。
一方的に離婚を言われた側の慰謝料の相場
原則として、一方的に離婚することはできませんが、裁判によって離婚が命じられた場合には、一方的であっても離婚を成立させることができます。
裁判によって離婚が認められるためには、「婚姻関係が破綻」、「法定離婚事由」の2つを満たす必要があります。下記で法定離婚事由及びその事由によって離婚した場合の慰謝料請求の相場を記載しています。
法定離婚事由 | 料金の相場 |
---|---|
不貞行為 | 100〜500万円 |
悪意の遺棄 | 50〜300万円 |
3年以上の生死不明 | 慰謝料請求は難しい |
回復の見込みのない強度の精神病 | 慰謝料請求は難しい |
その他婚姻を継続しがたい重大な事由 | 0〜100万円 |
離婚の慰謝料が払えない場合は?
離婚の慰謝料請求額によっては、払えない場合などがあります。その際にどのような対処法があるのかを紹介していきます。慰謝料が払えない場合は、基本的に支払い義務のある者から交渉するのが一般的です。
慰謝料の減額交渉を行う
夫婦間で話し合いができる状態であれば、減額交渉をして現実的に支払いができる金額にするという対処法があります。支払えない理由や証拠を用意するのが一般的に必要です。
慰謝料の分割払い対応する
慰謝料の減額に応じるのが難しい場合の対処として、分割払いが挙げられます。「分割払いの計画」「支払い遅延時の措置」を明文化し、相手に提示するのが一般的な交渉方法です。
身内の人間に立て替えてもらう
慰謝料が払えない場合でも、その親に支払い義務が生じることはありません。しかし、親に依頼して立て替えてもらう場合は、自身と親の責任で立て替えてもらう手続きを進めましょう。
弁護士なしでも慰謝料請求することはできるか
結論から言えば、弁護士なしでも慰謝料請求をすることは可能です。弁護士に依頼したとしても、依頼しなかったとしても慰謝料請求する際の手続きは同じなので紹介していきます。
相手と話し合い、慰謝料を請求する
相手と直接交渉して慰謝料額を決め、示談書に署名をして振り込みをしてもらいます。慰謝料額以外にも、離婚後の「元パートナーへの接触禁止」や「迷惑行為をしない」などの取り決めを記載することも可能です。
- 個人で慰謝料請求を進めた場合、示談書の内容が不十分で、後に思った手続きと違うというリスクも発生します。
慰謝料請求の訴訟をする
慰謝料請求で相手が交渉に応じない場合にするのが訴訟です。「慰謝料請求訴訟の訴状」、「証拠のコピーおよび証拠説明書」、「請求金額に応じた収入印紙および相手への書類の送達代」などが必要になります。
- 金額によって申し立てる裁判所が異なります。「140万円以下:簡易裁判所」、「140万円以上:地方裁判所」
離婚の慰謝料請求について弁護士へ無料相談することはできる?

離婚の慰謝料請求について弁護士へ無料相談をすることが可能です。相談先にもよりますが、30分、もしくは1時間相談をすることができます。
パートナーとの状況を伝え、「適切な解決方法を探す」、「大まかな慰謝料請求額の計算」などをしてもらうのがよいでしょう。弁護士に依頼するべきか否かの判断をするためのお試しと考えましょう。
参照:https://ricon-pro.com/columns/170/
離婚慰謝料請求の成功事例と失敗例
離婚慰謝料請求の成功事例
事案:結婚して3年間は円満でしたが、ある時夫の不貞行為が発覚しました。しかし、夫は慰謝料を支払うことを渋っており、払っても200万円としていました。「少しでも慰謝料を多くとってから、離婚したい。」そのような思いで当事務所にご相談に来られました。
慰謝料 | |
---|---|
弁護士介入後 | 400万円 |
離婚慰謝料請求の成功事例
事案:慰謝料、財産分与、養育費の支払いは分割払いで夫と合意し、離婚協議書も作りました。しかし、4ヶ月目から支払いがなくなりました。離婚の公正証書というものを作っていなかったからです。もちろん離婚協議書で約束したのなら、払わないことは許されません。しかし、支払いを強制させるには、裁判で訴えて勝つ必要があります。
離婚協議書の内容がまずかったことが原因です。離婚協議書自体が不利な内容だと、公正証書も不利な内容で作られてしまうのです。
離婚の慰謝料請求における弁護士費用はいくら?
離婚の慰謝料請求における弁護士費用を紹介していきます。また、慰謝料請求する場合は、同時に離婚の請求をすることが一般的になるので、離婚請求した場合の弁護士費用も合わせて紹介します。
慰謝料請求における弁護士費用
項目 | 基本報酬 | 成功報酬 |
---|---|---|
慰謝料請求 | 20〜40万円 | 獲得額の10〜15% |
離婚協議における弁護士費用
項目 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|
離婚協議 | 20〜40万円 | 20〜40万円 |
離婚調停における弁護士費用
項目 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|
離婚調停 | 20〜40万円 | 20〜40万円 |
離婚裁判における弁護士費用
項目 | 着手金 | 成功報酬 |
---|---|---|
離婚裁判 | 30〜60万円 | 30〜60万円 |
慰謝料が100万円の場合、弁護士費用はいくら?
慰謝料で100万円を獲得した場合にかかる弁護士費用は、30〜55万円ほどかかります。
基本的にスムーズ、かつ問題なく離婚の手続きを終わらせるためには、弁護士へ依頼が適しています。しかし、弁護士へ依頼すると慰謝料で得た報酬から3割から5割ほど支払わなければなりません。
まとめ:離婚の慰謝料請求できる条件とは | 弁護士に依頼する場合の費用は
この記事のまとめはこちらです。
- 離婚の慰謝料請求できる条件は、「配偶者に不貞行為があった場合」、「言葉もしくは肉体的な暴力があった場合」、「悪意の遺棄があった場合」、「その他夫婦関係が継続できないような問題があった場合」など。
- 弁護士なしで離婚の慰謝料請求をすることも可能だが、後に書類の不備があって慰謝料を受け取れないケースや裁判になると難しいため、弁護士へ依頼するのがおすすめ。
- 離婚の慰謝料請求における弁護士費用は、「基本料:20~40万円」、「成功報酬金:10~15%」
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