厚生労働省の調査によると2023年度の日本の離婚件数は18万3808組で、同じ年度の婚姻件数も考慮すると単純計算で「3組に1組の夫婦が離婚する」というのが実情です。
離婚の中でも9割近くを占めるのが「協議離婚」で、調停や裁判を行わず夫婦の話し合いによって離婚を成立させます。
ですが必ずしも夫婦二人の話し合いだけでスムーズに離婚手続きが進むとは限らず、慰謝料や養育費をどうするかなど、双方の意見がまとまらない場合も珍しくありません。
このページでは協議離婚についての説明と、話し合いがまとまらず弁護士に代理交渉を依頼した場合の費用と流れについてご説明します。
協議離婚とは

協議離婚とは調停や裁判などの法的手続きを使用せず夫婦での話し合いで離婚を成立させるもので、日本における離婚の約9割は協議離婚になります。
話し合いがスムーズに進めば、記入済みの離婚届を役所で提出するだけで離婚成立となります。
協議離婚で話し合って決めるべき内容
財産分与
年金分割
慰謝料
未成年の子供がいる場合は、上記に加えて以下の点も話し合う必要があります。
親権者の決定
面会交流
養育費
自身で協議離婚をする場合にかかる費用は
夫婦間の話し合いがスムーズに行われた場合、離婚届(Web上でダウンロード可能)を役所に提出すれば離婚は成立になるため費用などは特に発生しません。
協議離婚にかかる期間

協議離婚の場合、夫婦間での話し合いがスムーズに進めば最短で当日中にも離婚が可能です。
最短で当日中に離婚は可能であるものの、実際は夫婦間の話し合いが難航することも珍しくないため離婚成立まで半年〜1年ほどかかってしまう場合もあります。
離婚成立までに調停離婚では「半年〜1年」、裁判離婚では「1年前後」ほど時間がかかる場合が多いです。
協議離婚を進める場合の注意点
トラブルに備えて公正証書を用意しよう
協議離婚の際に必ずしも公正証書を作成する義務はありませんが、公正証書があれば離婚時に決めたお金の支払いが果たされなかった際に支払う義務のある側の財産を裁判をしないでも差し押さえることが可能になります。
協議が進まない可能性も考えておこう
協議離婚は夫婦双方の協力なくして成立しないため、どちらかが離婚の条件に応じない場合などは離婚協議は進展しません。予め「離婚まで半年〜1年程度かかってしまうかもしれない」と想定をしておき、場合によって弁護士に相談するなど対応を取りましょう。
協議離婚の場合も「弁護士」や「法テラス」への無料相談を活用しよう
相手との話し合いが難航した場合は弁護士などの法律の専門家に相談してみることも検討してみましょう。
裁判を起こす気がなくとも弁護士に相談をすることで、具体的な法的アドバイスがもらえたり、離婚の代理交渉をしてもらえたり、もうし作成のサポートをしてもらえたりとメリットは複数あります。
弁護士へ無料相談する
弁護士によっては無料で初回相談を受け付けているところが多数存在します。悩んだらまずは離婚トラブルに強い弁護士に無料相談をしてみるのが良いでしょう。
法テラスの無料相談を活用する
離婚トラブルのような民事事件は法務省が管轄している「法テラス」での無料法律相談も使用できます。ただし使用には収入や資産の基準をクリアする必要があります。
協議離婚で弁護士に代理交渉してもらう必要はあるのか

協議離婚については必ずしも弁護士を雇う必要はありませんが、弁護士を雇うことは多くのメリットが存在するのも事実です。
夫婦間の話し合いがスムーズに行われている場合は弁護士を雇わず離婚をするのも特に費用面では負担が少ないですが、話し合いが難航している場合は弁護士に間に入ってもらうという選択肢も考えてみましょう。
協議離婚で弁護士に代理交渉を依頼するべきケース
話し合いが進まないとき(DVやモラハラがある)
相手が離婚やその条件に応じない場合、弁護士から書類や連絡が送られてくることで相手に「私は真剣に離婚がしたい」という気持ちを伝えることができます。特に相手からDVやモラハラの被害を受けていて会いたくない場合は弁護士に全ての交渉を代理で行ってもらうことも可能です。
離婚協議書を作成してほしいとき
離婚時の財産分与や養育費などお金にまつわる取り決めに法的効力を持たせるには離婚協議書を、そこに不履行時の強制力を持たせるには公正証書を作成する必要があります。それらの書類の作成を法的な面でサポートしてほしい場合は弁護士への依頼がおすすめです。
相手方が弁護士を立てているとき相手が弁護士を立てた場合、離婚条件において自らに不利なように交渉が進んでしまう可能性があります。弁護士は法律だけでなく交渉においてもプロなので、自身も弁護士に交渉を依頼する方が良いでしょう。
慰謝料や養育費など折り合いがつかないとき
慰謝料や養育費の取り決めについて相手との折り合いがつかない場合、弁護士に相談することで法的な観点から落とし所を探ってくれたり、交渉自体を弁護士が代理で引き受けてくれたりします。
協議離婚で弁護士に代理交渉を依頼するメリット
有利な状態で交渉を進めやすくなる
弁護士は「法律」と「交渉」のプロなので、法的に可能な範囲で依頼者の要望に沿うように離婚の交渉を行ってくれます。自身に法律の知識が無かったり、相手方が弁護士を立てたりしても法的に不利な立場に追い込まれる可能性は低くなります。
相手と交渉するストレスから解放される
協議離婚では親権問題や財産分与なども含め離婚についての話し合いを全て夫婦同士で行う必要があり非常にストレスがかかります。、弁護士に代理交渉を依頼すると「相手との交渉は全て弁護士に任せる」というようなことも可能で、相手と話し合いをするストレスから解放されます。
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協議離婚で弁護士に代理交渉をする場合の費用
相談料 | 5,000円~1万円/1時間程度 |
着手金 | 20〜30万円程度 |
報酬金 | 獲得金額の10~20%程度 |
協議離婚で弁護士に代理交渉をする場合、最終的には30~60万円ほどの費用が発生するのが一般的です。
相談料・着手金・成功報酬以外にも、弁護士を現地に呼んだ際の日当や、収入印紙代や各種手数料などの諸々の実費も弁護士費用として発生します。
法律相談など依頼をする前段階で具体的にどのような費用が発生するかを弁護士側とよく確認をしておきましょう。
協議離婚で弁護士に代理交渉をする場合の流れ
弁護士に依頼をした場合、たとえ望む結果が得られなかったとしても数十万程度の費用が発生してしまうので、そもそも自分が弁護士に依頼をすべき状況なのか確認しましょう。
逆に「一向に話し合いが進まない」「相手が弁護士を立てて不安」「離婚はしたいが相手と話し合いたくない」など、弁護士に依頼すべき状況の場合はまず弁護士に相談をしてみましょう。初回相談料無料の弁護士も多数存在します。
弁護士に依頼をした方が良いと判断した場合は実際に弁護士に依頼をします。
なお、いきなり委任契約を結ぶのではなく法律相談をして現状の整理と実際に契約をするとどのくらい費用が発生するのかなどを事前に確認しましょう。

離婚条件などの最終的な落とし所が決まったら、決定事項を公正証書として残しておきましょう。
離婚時に公正証書を作成する義務はありませんが、公正証書があれば離婚時に決めたお金の支払いが果たされなかった際に裁判をしないで財産の差し押さえが可能になります。
夫婦の本籍地または所在地の市区町村役場の戸籍事務担当課に離婚届を提出します。
その際に離婚届だけでなく、夫婦二人の本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)・印鑑も必要になります。
協議離婚についてよくある質問
協議離婚で話がまとまる割合はどれくらいですか?
法務省が発表している令和2年度の調査では、協議離婚の際に夫婦二人の話し合いで離婚が成立した割合が44.7%、家族・友人に間に入ってもらった割合が35.7%、弁護士に委任した割合が8.4%で、全体の9割ほどは話し合いで協議離婚が成立したと言えます。
協議離婚がまとまったらどうすればいいですか?
協議離婚の形で話し合いを進めていき離婚条件などがまとまった場合は、役所に離婚届を提出して離婚は成立となります。その際にトラブルに備えて離婚条件などを公正証書のような書面で残しておくと良いでしょう。
離婚前にやってはいけないことはありますか?
離婚すると決めた際には離婚時に自身が不利になる行動はなるべく取らないようにしましょう。例えば「財産隠し」などは発覚して民事訴訟された場合は損害賠償をされてしまう可能性もあります。
まとめ:協議離婚とは | 弁護士に代理交渉を依頼する場合の費用と流れ
この記事のまとめはこちらです。
- 協議離婚とは「調停や裁判などの法的手続きを使用せず、夫婦の話し合いで離婚を成立させる離婚形態」で、日本における離婚の約9割は協議離婚である。
- 協議離婚は夫婦の話し合いが上手くいけば費用も最低限でスムーズに離婚が成立する一方で、話し合いが上手くいかない場合は離婚が進まなくなってしまうので、その際は弁護士を雇うことも選択肢の一つである。
- 協議離婚での弁護士費用は平均して30~60万円ほどかかるものの、相手との話し合いが難しい場合や、相手が弁護士を立ててきた場合など、費用がかかってしまうとしても自身も弁護士を立てた方が良い状況も存在する。
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