民事裁判にかかる訴訟費用と弁護士費用は?誰が払う?払えない場合は?

このページでは、民事裁判にかかる訴訟費用と弁護士費用について説明します。

「そもそも民事裁判とはどういったものなのか」「刑事裁判とどのような違いがあるのか」といった根本的な疑問から、実際に民事裁判をする際にかかる各種費用についても解説しています。

そして、民事裁判の大まかな流れや、民事裁判の際に負担となる弁護士費用を支払うのが難しい場合の対応策についても紹介します。

目次

民事裁判とは

民事裁判とは裁判所で行われる民事事件に関する手続きの一種で、法廷で原告側・被告側双方が自身の主張や証拠の立証を行い、最終的に裁判の判決によって紛争の解決を図る法的手続きになります。

個人や企業など私人間の法的トラブルは民事事件と呼ばれる一方で、犯罪行為に対して刑法の適用によって処罰するものを刑事事件と言います。

民事事件が私人間のトラブルなのに対して、刑事事件は被告人vs国家(検察や警察)のトラブルとなるため、刑事事件において起訴が出来るのは被害者ではなく検察となります。

民事裁判の種類

民事裁判(=民事訴訟)は大きく「通常訴訟」「手形小切手訴訟」「少額訴訟」「人事訴訟」「行政訴訟」の5つに大別できます。

種類内容
通常訴訟個人間の通常の法的な紛争で、主に財産権に関する紛争解決を求める訴訟
手形小切手訴訟民事訴訟法の特別の規定によって審理される手形・小切手金の支払を求める訴訟
少額訴訟簡易迅速な手続により60万円以下の金銭の支払を求める訴訟
人事訴訟離婚や認知の訴えなどの家族関係についての紛争に関する訴訟
行政訴訟公権力の行使に当たる行政庁の行為の取消しを求める訴訟

民事裁判と刑事裁判の違い

民事事件に関する裁判を「民事裁判、刑事事件に関する裁判を「刑事裁判」と呼びますが、事件の性質の違い上 複数の相違点があります。

民事裁判は「私人間のトラブル解決」を目的とするため条件が折り合えば和解することも珍しくありませんが、刑事裁判は「刑事事件に対する処罰の内容を決定する」という目的があるため「刑事裁判の結果としての和解」というものはなく、有罪か無罪か、有罪の場合はどの程度の刑罰を与えるかなどを決定します。

民事裁判と刑事裁判は目的が違うため、一つの事件に関して両方の裁判を行う場合もあります。例えば交通事故について、「業務上過失致死傷罪で懲役3年の形に処す」のような量刑を決めるのが刑事裁判で、「事故による損害賠償として100万円の支払いを命じる」などの最終的な解決方法は民事裁判で決定します。

民事裁判にかかる訴訟費用と弁護士費用の相場

民事裁判において発生する費用は、裁判自体を行うために必要な「訴訟費用」と、弁護士を雇った場合の「弁護士費用」の2つに大きく分けることが出来ます。

民事裁判にかかる費用金額
収入印紙数千円(当事者数による)
予納郵便切手数千円(当事者数による)
必要書類の取得費用数千円(当事者数による)

民事裁判を本人のみで行う場合、訴訟費用として裁判所に手数料(=収入印紙代)や切手代を支払う必要がありますが、弁護士費用は発生しません。

特に収入印紙代は訴訟の目的の価額に応じて細かく決められています。

訴訟の目的の価額手数料額
~100万円10万円ごとに1,000円
100万円~500万円20万円ごとに1,000円
500万円~1000万円50万円ごとに2,000円
1000万円~10億円100万円ごとに3,000円
10億円~50億円500万円ごとに10,000円
50億円~1000万円ごとに10,000円

参照:https://www.courts.go.jp/vc-files/courts/file2/20161001minsohiyouhoubeppyou1.pdf

民事裁判の訴訟費用は数千円~数万円程度に収まる場合が多いですが弁護士を雇うと高額な弁護士費用が発生する場合があります。

2022年の統計では、民事第一審通常訴訟において弁護士が関与した割合(当事者の片方または双方が弁護士等を付けた割合)は地方裁判所では92.6%、簡易裁判所では18.4%となっており、裁判の規模大きくなるについて弁護士を雇う人の割合も増えていきます。

民事裁判にかかる弁護士費用金額
法律相談料5,000~10,000円 / 1時間(無料相談の事務所あり)
着手金10万円~30万円程度
報酬金得られた経済的利益の10~20%
実費数万円

弁護士は法的トラブル解決の専門家なので、弁護士費用などに注意しつつ、自身の望んだ通りの判決を得るためには弁護士への依頼も検討するべきでしょう。

弁護士へ依頼する際にどのような費用が発生するか紹介しています。

民事裁判の事例における実際にかかった費用

民事裁判における費用の相場は、どのような問題に対する依頼かによって異なります。

いくつか例を挙げて紹介していきます。

労働問題

上司から日常的な罵声を浴びせられ、最終的にうつ病を発症し就業が困難になってしまったケース

最終的に「会社側が慰謝料200万円を支払う」という内容で結審した

法律相談料1万円 / 1時間
着手金10万円
成功報酬金30万円(得られた経済的利益の15%)
実費2万円
合計43万円

労働問題における着手金以外の弁護士費用の詳細を紹介しています。

離婚問題

離婚調停を行ったが不調に終わり離婚裁判まで進んだケース

最終的に「毎月5万円の養育費の支払いを夫側が受け入れる」という内容で結審した

法律相談料1万円 / 1時間
着手金20万円
成功報酬金22万円(離婚成立+養育費2年分の10%)
実費3万円
合計46万円

離婚問題における着手金以外の弁護士費用の詳細を紹介しています。

相続問題

兄弟間で親の所有する不動産の遺産分割においてトラブルが発生したケース

最終的に「不動産を売却(3000万円で売却)して兄弟3人で等分する」という内容で結審した

法律相談料1万円 / 1時間
着手金59万円(得られた経済的利益の5%+9万円)
成功報酬金118万円(得られた経済的利益の10%+18万円)
実費3万円
合計181万円

相続問題における着手金以外の弁護士費用の詳細を紹介しています。

民事裁判にかかる費用は誰が払う?払えない場合は?

法律で定められている訴訟費用については基本的には裁判で敗訴した側が支払うことになります。

なお訴訟費用は裁判を起こすタイミングでかかる費用になるため、基本的には原告側(=裁判を起こす側)が訴訟費用を一旦立て替える形になります。

民事裁判の弁護士費用を相手に請求できる?

弁護士費用については勝訴・敗訴に関係なく原則として相手に請求することは出来ません。

敗訴した側が弁護士費用を支払うのは一見正しく感じられますが、「もし負けたら相手の弁護士費用も支払わないといけないのなら…」と訴える側が訴訟を思いとどまってしまう可能性があります。

そのため、法律で定められた訴訟費用については敗訴側の負担が認められる一方で、弁護士費用については原則自己負担となっています。

なお、不法行為があった場合の損害賠償の訴訟においては相手側に弁護士費用も請求出来る場合があります。

ですがその場合も弁護士費用全額を請求できるわけではなく、損害賠償額の一割程度(慰謝料として100万円が認めれれたら10万円分)を限度に認められることになります。

民事裁判にかかる費用が払えない場合は?

民事裁判にかかる費用のうち、特に弁護士を雇った際の弁護士費用は非常に高額になる場合があります。

一般的には「法律相談料」は最初に相談をしたタイミングで、「着手金」は実際に弁護士が案件に取り掛かるタイミングで、「報酬金」はトラブルが解決したタイミングで支払うことになります。

また、既に着手しているにも限らず費用が支払えなくなった場合、「案件の処理の終了」、「弁護士の辞任」、「差し押さえなどによる法的手段」が発生する可能性があります。

特に弁護士を雇う場合は、予め「どのくらいの金額が必要になるか」「費用倒れになってしまわない」などを確認をしておきましょう。

弁護士へ依頼した場合に発生する費用について解説しています。

以下で、弁護士費用が支払えない場合の対処法もご紹介します。

分割払いや後払いできる法律事務所の利用

前提として、弁護士に支払う着手金を無料にすることは難しいですが、分割払いや後払いに対応可能な法律事務所はいくつかあります。

また、依頼する事件内容によって分割払いの対応をしてくれる法律事務所もあるようです。まずは問い合わせだけでもしてみましょう。

注意点として、上記でも紹介したように着手した後に分割払いや後払いの支払いが滞ると差し押さえなどの法的手段が発生する可能性もあるので注意しましょう。

弁護士保険に加入しておく

弁護士保険とは、法的トラブルが発生した際の弁護士費用を補償してもらえるものです。

弁護士保険によって補償されるのは主に法律相談料、着手金、報酬金です。(保険会社によって異なることもある)

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弁護士保険とはどのようなものか詳細を紹介しています。

民事裁判の流れ

トラブルの発生、訴訟を提起

トラブルが発生し解決方法として裁判を選択した場合、まずは裁判所に訴状を提出して訴訟を提起します。

なお訴訟を提起する前に弁護士を雇っていると、法廷での弁護活動だけではなく訴状や各種提出書類の作成などの事務手続きを一任することなども可能です。

裁判への出廷

裁判所が第1回の口頭弁論期日を指定し、原告・被告の双方に裁判へ出廷するよう呼び出しを行います。

被告側が原告の訴えに対しての答弁書を提出せずに裁判を欠席した場合、被告は全面的に原告の主張を認めたという扱いになってしまうので注意が必要です。(民事訴訟法第159条第1項)

審理の進展

第2回以降はおおよそ1ヶ月に1回のペースで口頭弁論などを行う期日が指定され、双方が自身の主張や翔子の立証、相手の主張に対する反論などを行っていきます。

審理の中では和解の話し合いも行われるので、双方が合意した場合は裁判の判決を待たずに和解により裁判が終了することもあります。

判決

双方の主張や証拠が出揃い、必要に応じて証人の出廷や尋問も終わったところで、弁論は集結となり判決が言い渡されます。

判決に不服な場合は、判決から2週間以内であれば上級裁判所に控訴することも可能です。(簡易裁判所→地方裁判所→高裁判所等→最高裁判所)

令和4年の統計によると、民事第1審訴訟事件の平均審理期間は10.5ヶ月となっており、裁判が終わるまでに平均1年弱の期間がかかることが分かります。

弁護士保険に加入すると民事裁判における弁護士費用が補償される

上記でも少し触れましたが、もし弁護士保険に加入していれば民事裁判における弁護士費用が補償されます。

補償されるトラブルの範囲も広く代表的なものだと「離婚問題」、「相続問題」、「労働問題」、「交通事故」などの法的トラブルの際の弁護士費用が補償されます。

基本的に弁護士保険は個人が直面したトラブルの弁護士費用を補償するものですが、近年では事業者向けの保険もあるので加入していれば事業者が直面するトラブルも補償されます。


現状で弁護士保険の種類はいくつかあり、月額の保険料や補償割合、他にも付帯サービスや特約などがそれぞれ異なります。

当サイトでは、おすすめの弁護士保険のサービスや月額料金などを比較しているので、弁護士保険への加入を検討している場合はチェックしてみてください。

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まとめ:民事裁判にかかる訴訟費用と弁護士費用

この記事のまとめはこちらです。

  • 民事裁判とは民事事件に対して法廷で原告側・被告側双方が自身の主張や証拠の立証を行い、最終的に裁判の判決によって紛争の解決を図る法的手続きである。
  • 民事裁判にかかる訴訟費用は「収入印紙:数千円」「郵便切手:数千円」「必要書類の取得費用:数千円」ではあるが、弁護士を雇った場合はさらに「相談料」「着手金」「報酬金」なども発生し高額になる場合がある。
  • 民事裁判においては訴訟費用は敗訴した側が負担するが弁護士費用は各自での負担となる。例えば弁護士保険に加入していると弁護士費用を一部~全額補償してくれる。

弁護士への相談を検討している場合は、弁護士保険の加入がおすすめです。下記から、弁護士保険の比較することができます。

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